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作者: 犬物語
世界一難しい言語の条件
こんにちは! わたしのなまえは、いぬものがたりです
「日本語は世界一難しい言語である」

 なぜか日本人の多くが信仰してるらしいこの宗教。実際はべつにそんなことなくて、じゃあなぜ日本語にこんな言われがついたのか? ってのは複数の理由がある。

 ひとつはアメリカの外国語研究機関。外交官を養成する機関だったりいろいろ関わってるが、その中の『言語研究学部(School of Language Studies)』では多くの言語を学べるクラスが用意されてる。そのページ中に、研究対象の六五カ国ごとに習得難易度が紹介されてるんだけど、アメリカ外交官が「この言語むずかしくね?」と経験的に学んだ難しさに基づいてクラス分けしたところ、日本語は最難関である〝カテゴリーⅣ〟に仕分けられたんだ。

:School of Language Studies:
ttps://2021-2025.state.gov/foreign-language-training/

 超難解言語である。ほらみろ、やっぱり日本語は難しいじゃないか! とナゾの優越感に浸ってるキミは落ち着いてほしい。これには注釈が添えられてるんだ。

・英語を母語とする人にとって極めて難しい言語

 日本語の他にもアラビア語、中国語(広東語/北京語)、韓国語もランクインしてる。これらは英語話者にとって二二◯◯時間くらい勉強しないと習得できないかもよ? ってくらい難しいとされていて、日本語は最難関だけど「最も難しい言語」というワケじゃない。

 むしろ、他英語圏モロモロの情報を探ってみると『英語話者にとって、最も難しい言語は〝マンダリン〟と呼ばれる標準中国語』である可能性が高そうだ。

 日本語は世界一難しいと日本国内で言われるもうひとつの理由は、日本人の自己肯定感を高めるためにある。なんじゃそりゃ? と感じられるかもしれない、というよりわたし自身も「なんじゃそりゃ?」と思っちゃう理由なんだけど……なぜか知らんが、日本人は他国と比べて〝自国称賛系コンテンツ〟がウケるらしい。

 地上波放送でもよくある、外国人が日本に訪れて「アメージング! 日本ってすごい! わたしの国にはこんなのないよ!」みたいなこと言わせて悦に浸る系。YouTubeでも同じような動画があったり、サムネイルでも「日本に来ちゃダメだって! 魅力的過ぎて帰りたくなくなるから!」みたいな煽りが付けられたりしてる。

 日本語アゲのため習得難易度や表現の豊かさなどをプッシュするのは良い手段だよね。世界一難易度が高いとなるとインパクトも抜群だし。けど残念ながら日本語は真の意味で最高難易度の言語ではない。

 相対的なものなんだ。

 韓国人にとって日本語は文法が似てるし、まあ文化的に欧米ほど遠いわけでもないから理解しやすい面がある。逆に日本人韓国人にとって英語は難しく感じる。実際、日本人は小中高大と英語を勉強してるのに、英語能力自体はそうでもないでしょ?

 中国語と英語は文法が似てるのでとっつきやすいそうだ。とはいえ文化が違いすぎる上に、英語圏の方々にゃあアルファベッドを嘲笑う漢字の多様性に乾いた笑いを漏らすらしい……縁あって外国人と良く合う環境にいたんだけど、その時外国人と話したら日本語についていろいろ文句言われた。

カナダ人「漢字ぃ……ダメぇ……」
オーストラリア人「ひらがな、カタカタ、漢字。学習する文字多すぎない?」
スウェーデン人「同じ動物でもひき・・とう・・あるのひどくない?」

 なーんも言い返せなかったわ。

 そんなこんながありまして、でもどーしても「じゃあ世界一難しい言語ってなんだよ!」という方、いると思います。結論としては「そんなものはない・・」と書きたいんだけどそれじゃ味がなさすぎるので、今回は『実際に世界一難しい言語ってあるの?』をテーマにやっていきましょう。





:ことばってわびさびよねぇ~:

 言語学的な結論だと、やっぱり「世界一難しい言語は存在しない」なんだって。

 ことばという機能自体は、人間直系の祖先である『ホモ・サピエンス』が開発したらしい。いろいろ説あるけど、とりあえず約三◯万年前に誕生した種だね。ただいつ、どうやって『ことば』が生まれたのかは専門家の間でもあーだこーだ言い合ってる。

 なにはともあれ生まれたのは生まれたんだけど、またまた問題があって『ことば』って歴史と共にあちこちの文化同士で交流したり淘汰されたり、もうとにかく形を変えていろんな国でいろんな種類の『〇〇語』が生まれたわけ。同じインドでも数百種類言語があるとか草も生えんわ。

 もはや数万言語ありそうな地球上の『ことば』の数々だけど、じゃあ言語の難易度的にどうなの? というテーマで見ると話は変わってくる。なぜかというと、言語学者の間ではこのような定説があるからだ。

言語学者「言語の全体的な複雑さは、どの言語もほぼ均等である」

 ある言語は文法がとても複雑怪奇だけど、使う文字や単語はそれほど多様でなはい。

 別のある言語はやたら文字や単語が多いけど、文法はテキトーでもわりと通じるし正しい。

 またまた別の言語は文字や単語の数が少なく文法も難しくはないが、他の何かと組み合わせたり、複数形にする際にやたら複雑なルールがある。

 つまりこういうことです。

 ある言語には、ある部分は簡単だが別の部分では難しい部分がある。それらを平均すると、世界中のどの言語も『総じて同じくらいの難易度』になるということ。

 問題は、その〝難しい部分〟とやらの尖り具合だ。特にマイナー言語にゃあ尖った部分がたくさんあるらしいのでそれらをいくつか紹介してみましょう。


 南アフリカは部族ごとの言語があることが珍しくなく、それこそ千を超えるマイナー言語が存在しており、専門家はそれらを『コイサン諸語』としてまとめた。この言語最大の特徴は〝吸着音(クリック音)〟という舌打ちのような発音があることだ――とりあえず参照してみよう。

:KittyKommando:
ttps://youtu.be/ia3dJvydKY4?si=e_iUf_jOfAkzztQ1

 いや、まあわかるけどムズくね? 日本語が五十音で成り立ってるのと同じように、これらの言語でもたくさんの音素があって、それぞれ十数個、あるいは数十個がクリック音になるんだと。しかも舌打ちにも種類があってそれらをボイパのように使い分けられるんだとこの話者は。


 カナダには『チペワイアン』という先住民族がいるらしい。彼らは『チペワイアン語』の話者だけど、ヨーロッパに属するくせにヨーロッパ諸国言語とまったくかけ離れた文法構成をしてるそうです。

 えーとなになに? たとえば[ Kébíníshe ]の単語ひとつで「わたしはカヌーで水上を移動し(そこに)到着する」という意味になると、へぇ~……すっご。他にも物体の形で〝それ〟の単語を使い分けるんだとか。

丸いもの = Né’ą
平ら、柔軟なもの = Néłchų
細長いもの = Nétį

 これらは、それとなく日本語の〝数詞〟に似た要素を感じるね――日本語は独自にながーく進化してきた歴史があるので、たとえば『小鳥遊たかなし』というような複雑な経緯から誕生した単語もある一方で、発音が基本母音で終わるシンプル構成であったり、文字と発音がほぼ一致してるので簡単っちゃ簡単ですね。

 まあ、そのせいで英語の文字と発音の違いに悩むハメになるのですが……いやむしろなぜ英語はあんな文字と発音のギャップがありすぎるんだって話しでよ? いくらラテン語フランス語その他もろもろの影響受けてるからといってよ? もうちょいなんとかならんかったんかねぇ……ダメですか、そうですか。





:ことばを理解する脳:

 脳って基本楽したがる生き物やねん。でも新しく学習する際は一生懸命働いて、同じ刺激をくり返し受けて学んでいく。

 脳が新しいことを学ぶには『理解と納得』が必要なの。文字と実際の発音が同じであれば理解しやすいし、例外処理が多ければ多いほどその部分の学習が難しくなっていく。

 たとえば野球のルールで『インフィールド・フライ』ってあるじゃん? あれ文章にすっと『ランナー1、2塁で、0、1アウトの時、内野フライが上がり、審判が「インフィールド・フライ」を宣告した時、打者が即刻アウトになるルール』なんだけどいきなり「はいコレ覚えて」はムリゲーじゃん? けど『このルールは〝ダブルプレイ〟を防ぐためのルール』であり、攻撃側が理不尽にチャンスを失うことを防ぐものだよと説明するととたんに理解しやすくなるんだ……コーチのみなさんは、ぜひこのコツを教えてあげてください。

 世界各国の言語は、総じて同じレベルの難易度なので子どもたちの習得年数はおおむね同じらしい……が、なんと『デンマーク』の子どもたちは他国の子とくらべ学習ペースが遅れてしまうそうだ。

:ケンブリッジ大学ジャーナル:
ttps://doi.org/10.1017/S0305000908008714


 デンマーク語は他欧米諸国の言語とくらべ母音が多く、また子音をはっきり発音しないなど発音的な曖昧さがあり、ネイティブとして実生活の中で触れていたとして、完全に定着させるには時間がかかるそう。これはデンマークの人たちの知能レベルが低いワケじゃないので勘違いしないでほしいのですが、これは『言語はスポーツのように、繰り返し練習して身につけていくもの』だということがよくわかる論文ですね。



 英語ペラペラの人に「どうやったら英語上達できますか?」と口グセのように尋ねる。そうすっと決まって「英語しかない環境に行け」と言われる。それはわかるけどぉ、とグチりたくなるが、第二言語を流暢に操れるレベルになった人にとって、それだけ『言語を浴び続けること』が重要なのかよくわかるよね。ってことでわたしは日々YouTubeなどで英語を浴び続けてるんだけど……はてさて、英語ペラペラになれるのはいつの日になるだろうか。

 日本語は決して世界一難しい言語ではない。数詞の複雑さや主語を省略する文法スタイルなど人によっては「日本語は世界一難しい言語だよ!」と言いたくなる要素てんこ盛りなんだろう。

 そんな日本語を使いこなしてるワイらってすごくね? と思ったキミは☆や♡で高評価、レビューをおねがいします。
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