VS謎の男、元
一号機という意味も乗せてみた
元とにらめっこしてる間、
わたしはこの先の展開を予想していた。
ひとつは逃げの一手。
あのレベルの魔術師なら逃走用スキルのひとつやふたつ。
もうひとつは戦闘。
これはさくらがいるから万事おっけー。
わたしは見てるだけ。
ついでにさくらちゃんのお手並み拝見チャンス到来。
もちろん援護するよ?
でもナイフふたつじゃどうしよーもねーっす。
ってな具合で未来予想図展開してたらこれよ。
我らが団長さん余計なことしてくれました。
まあ逃げられるよりはマシだけど、
これわたしもタゲ取られてるよね。
「いいぜ、久しぶりにチートなしで戦ってやる」
さくらが真正面から突っ込んだ。
いや使える手段はじゃんじゃん使ってくれる?
元が展開した魔法陣が光る。
赤白黄色、なんてカラフル。
まるで花火みたい。
召喚されたのが触手でなけりゃもうちょい風情があったかもしんない。
「んにゃ?」
地面が軋む音。
からの破壊。
地面から触手がこんにちは。
「ファッ!?」
わたしは跳んだ。
触手も伸びた。
ナイフを取り出し対応。
切っても切ってもすげー数。
例によって吸盤付き。
武器を持ってかれぬよう握る手に力を込めた。
(ってか囲まれてない?)
四方八方触手なのですが?
さくらは爪を装備した。
「素性がバレりゃお構いなしってか!」
「なんでそんな笑顔なの!」
さくらは凄まじい勢いで武器を振るう。
迫りくるうにょうにょが瞬きひとつで一口サイズ。
「そんなもんかぁ!? これじゃすぐに終わっちまうぜ!」
「そうだな」
元はフードの下に表情を隠し、こちらに手のひらを見せた。
あれがくる。
反射的にすごくはやいを発動。
「すぐ終わらせよう」
男の前方に数多の輝きが出現した。
見覚えがある。
これドロちんが盗賊相手にヤッてたヤツだ。
隠れ場所? 触手空間につきございません。
「爆発」
(こっちきた!)
光が迫ってくる。
夜空の中に展開されてたらキレイだったと思う。
けど残念、あれただの爆弾なんだよね。
触れたらドボンだ。
それがランダムな軌道を描き迫りくる。
「グレース、元気してっか?」
触手と光球に対処する。
同じく、それらをかいくぐってきたさくらが寄ってきた。
「おかげさまでー!」
「あいつただの魔術師じゃねーぞ」
それはわかる。
さくらは男の特定の位置を指さした。
額だ。そこには赤い宝石のようなものがはめ込まれてる。
「アレだ。アレが詠唱なしで魔法バカスカ撃ってきやがるヒミツだ」
それだけじゃなさそうだが。
こんなときでも考える余裕があるそうで。
ちょっとその爪貸してくれませんかね?
ナイフ一本じゃどうしようもないんすよ。
え? もう一本はどうしたって?
吸われた。ちゅーちゅー。
(ってかこんくらいの相手さくらだったらワンパンだよね)
「そー思うか?」
野生のカンです。わたしは心の中でそう答えた。
「チート? っていうのはやく使ってくれないかな」
「使ってもいいがいろいろ条件があんだよ。協力しろ」
さくらは再度あの男を示す。
もう片方の手で光を切り裂いた。
そんなことできんの?
「ヤツに直接触れたい。援護してくれ」
「えぇ、でも近づけないよ?」
「変身を使え」
(知ってたんだ)
わたしがそのスキル使えるってこと。
それはまあいい。たぶん知ってると思ってたから。
で、それから?
「ノープランだ」
「ですよねー」
「いーからとにかく変身しろ!」
「わっ!」
さくらがわたしの背中をバチン。
男のほうにふっ飛ばされーの、目の前に触手。
「ひゃあ!!」
反射的にナイフを振りまわす。
うにょうにょを真っ二つにしたが、その代わり最後の一本を撃ち落としてしまった。
装備:なし
迷ってる時間はなかった。
「スキル、変身!」
全身に力がみなぎっていく感覚。
本当の自分が開放されていく感覚。
叫びたい、全力で走りたい。
何かを追いかけたい、追いかけて、そして、
オトモダチになりたい。
あの時はできなかったけど、
今はそれができる。
あの時はやらされてただけだけど、
今は自分の意思だ。
だから、わたしは吠えるんだ。
「わおーん!」
「なんだそれ」
「行くよ!」
わたしはオトモダチの手をにぎった。
やわらかい感触だった。
もーちょいぷにぷにしたかったけど、今は悪い子にメッしないとね。
「ひゃっほう!」
襲い来る触手がスローに見える。
この状態になったわたしは無敵だ。
武器なんていらない。
今のわたしには鋭い爪がある。
攻撃を受け止める肉球もある。
ちょっとやそっとじゃくじけない。
だって、それがわたしたちでしょ?
「へぇ、その爪判定デカいな」
「なんの話?」
「なんでも。そろそろいーぜ」
さくらがこっちを見る。
悪巧みをしたようなワルい笑み。
その矛先はあっち。
何をしてほしいのか、わかった。
「思いっきりやってくれ」
「手加減しないよ?」
「むしろばっちこい」
「あいあいさー!」
わたしはさくらを放り投げた。
周囲に激しい爆裂音を撒き散らしながら、さくらは一直線に飛んでった。
わたしはこの先の展開を予想していた。
ひとつは逃げの一手。
あのレベルの魔術師なら逃走用スキルのひとつやふたつ。
もうひとつは戦闘。
これはさくらがいるから万事おっけー。
わたしは見てるだけ。
ついでにさくらちゃんのお手並み拝見チャンス到来。
もちろん援護するよ?
でもナイフふたつじゃどうしよーもねーっす。
ってな具合で未来予想図展開してたらこれよ。
我らが団長さん余計なことしてくれました。
まあ逃げられるよりはマシだけど、
これわたしもタゲ取られてるよね。
「いいぜ、久しぶりにチートなしで戦ってやる」
さくらが真正面から突っ込んだ。
いや使える手段はじゃんじゃん使ってくれる?
元が展開した魔法陣が光る。
赤白黄色、なんてカラフル。
まるで花火みたい。
召喚されたのが触手でなけりゃもうちょい風情があったかもしんない。
「んにゃ?」
地面が軋む音。
からの破壊。
地面から触手がこんにちは。
「ファッ!?」
わたしは跳んだ。
触手も伸びた。
ナイフを取り出し対応。
切っても切ってもすげー数。
例によって吸盤付き。
武器を持ってかれぬよう握る手に力を込めた。
(ってか囲まれてない?)
四方八方触手なのですが?
さくらは爪を装備した。
「素性がバレりゃお構いなしってか!」
「なんでそんな笑顔なの!」
さくらは凄まじい勢いで武器を振るう。
迫りくるうにょうにょが瞬きひとつで一口サイズ。
「そんなもんかぁ!? これじゃすぐに終わっちまうぜ!」
「そうだな」
元はフードの下に表情を隠し、こちらに手のひらを見せた。
あれがくる。
反射的にすごくはやいを発動。
「すぐ終わらせよう」
男の前方に数多の輝きが出現した。
見覚えがある。
これドロちんが盗賊相手にヤッてたヤツだ。
隠れ場所? 触手空間につきございません。
「爆発」
(こっちきた!)
光が迫ってくる。
夜空の中に展開されてたらキレイだったと思う。
けど残念、あれただの爆弾なんだよね。
触れたらドボンだ。
それがランダムな軌道を描き迫りくる。
「グレース、元気してっか?」
触手と光球に対処する。
同じく、それらをかいくぐってきたさくらが寄ってきた。
「おかげさまでー!」
「あいつただの魔術師じゃねーぞ」
それはわかる。
さくらは男の特定の位置を指さした。
額だ。そこには赤い宝石のようなものがはめ込まれてる。
「アレだ。アレが詠唱なしで魔法バカスカ撃ってきやがるヒミツだ」
それだけじゃなさそうだが。
こんなときでも考える余裕があるそうで。
ちょっとその爪貸してくれませんかね?
ナイフ一本じゃどうしようもないんすよ。
え? もう一本はどうしたって?
吸われた。ちゅーちゅー。
(ってかこんくらいの相手さくらだったらワンパンだよね)
「そー思うか?」
野生のカンです。わたしは心の中でそう答えた。
「チート? っていうのはやく使ってくれないかな」
「使ってもいいがいろいろ条件があんだよ。協力しろ」
さくらは再度あの男を示す。
もう片方の手で光を切り裂いた。
そんなことできんの?
「ヤツに直接触れたい。援護してくれ」
「えぇ、でも近づけないよ?」
「変身を使え」
(知ってたんだ)
わたしがそのスキル使えるってこと。
それはまあいい。たぶん知ってると思ってたから。
で、それから?
「ノープランだ」
「ですよねー」
「いーからとにかく変身しろ!」
「わっ!」
さくらがわたしの背中をバチン。
男のほうにふっ飛ばされーの、目の前に触手。
「ひゃあ!!」
反射的にナイフを振りまわす。
うにょうにょを真っ二つにしたが、その代わり最後の一本を撃ち落としてしまった。
装備:なし
迷ってる時間はなかった。
「スキル、変身!」
全身に力がみなぎっていく感覚。
本当の自分が開放されていく感覚。
叫びたい、全力で走りたい。
何かを追いかけたい、追いかけて、そして、
オトモダチになりたい。
あの時はできなかったけど、
今はそれができる。
あの時はやらされてただけだけど、
今は自分の意思だ。
だから、わたしは吠えるんだ。
「わおーん!」
「なんだそれ」
「行くよ!」
わたしはオトモダチの手をにぎった。
やわらかい感触だった。
もーちょいぷにぷにしたかったけど、今は悪い子にメッしないとね。
「ひゃっほう!」
襲い来る触手がスローに見える。
この状態になったわたしは無敵だ。
武器なんていらない。
今のわたしには鋭い爪がある。
攻撃を受け止める肉球もある。
ちょっとやそっとじゃくじけない。
だって、それがわたしたちでしょ?
「へぇ、その爪判定デカいな」
「なんの話?」
「なんでも。そろそろいーぜ」
さくらがこっちを見る。
悪巧みをしたようなワルい笑み。
その矛先はあっち。
何をしてほしいのか、わかった。
「思いっきりやってくれ」
「手加減しないよ?」
「むしろばっちこい」
「あいあいさー!」
わたしはさくらを放り投げた。
周囲に激しい爆裂音を撒き散らしながら、さくらは一直線に飛んでった。