残酷な描写あり
4.虚々実々の嵐-3
「まず、ライシェンの母親は、先ほども言った通り、鷹刀セレイエです。彼女は神殿の神官でした。より正確に言えば、『神官』という表向きの身分を与えられた、〈七つの大罪〉の〈悪魔〉のひとり、です」
それから、カイウォルは口の端を上げ、冷ややかに付け加える。
「別に答えなくて構いませんが、鷹刀一族と懇意にしている君なら、『神殿が、王の私設研究機関である〈七つの大罪〉の、隠れ蓑になっている』ことくらい、ご存知なのでしょう?」
こともなげに極秘事項を明かすのは、互いに知らぬふりでは話を進めにくい、ということなのだろう。
対して、ハオリュウは無言で聞き流す。
義兄ではないが、情報を制する者が勝つのだ。よって無表情を決め込むとする。――が、それでは、カイウォルは面白くなかったらしい。不満げに顔をしかめた。
「そして、ライシェンの父親は、神官長の職にあったヤンイェンです。……ライシェンは、四年前、まだ先王が存命のときに、このふたりの息子として生まれました」
ハオリュウにとって、それもまた既知の事実だ。故に沈黙のまま、神妙に聞き入るふりをしようとして、はっと息を呑む。
先ほど、ハオリュウは『『ライシェン』は、カイウォル殿下の御子なのですね』などと言って意趣返しをしたばかりだ。ならば、この情報に関しては、無表情ではなく、『平静を装いつつも、動揺あるいは得心の顔を隠しきれずにいる』ほうが自然だ。
――ややこしいが、気をつけないとボロがでるな。
冷や汗に身を震わせると、カイウォルが口元をほころばせた。そういう反応が欲しかった、ということだろう。
ハオリュウの緊張の理由と、カイウォルの解釈との間にはズレがあるのだが、勝手に気をよくしてくれたなら都合がいい。ハオリュウは畏まった体で目線を下げ、続きを促した。
「〈神の御子〉の男子であるライシェンは、女子であるアイリーよりも、王位継承権が上になります。つまり、彼は生まれた瞬間に、次代の王になることを約束されました」
そこでカイウォルは、まるで耳打ちでもするかのように、「ハオリュウ君」と、すっと身を寄せた。
「私は、母に妹を託され、彼女が立派な王になるよう、手塩にかけて育ててきました。そこに突然、彼女を押しのけて王になる、〈神の御子〉の男子の誕生です。この事態に、私が何を思ったか、想像できますか?」
含みのある、刺すような視線。
声を詰まらせたハオリュウに、カイウォルは薄い嗤いを漏らす。
彼は、ただ、ハオリュウを困らせたかっただけのようで、返答など期待していなかったのだろう。演技めいた仕草で、肩をすくめた。
「『ライシェンを邪魔に思った』? ――とんでもありません。私は、この世で一番、『〈神の御子〉である彼』の誕生を祝福した人間だと思いますよ。黒髪黒目の子供が生まれてくると信じて疑わなかった、両親よりも、ずっと」
「……」
話の方向が見えてこない。
ハオリュウが困惑を浮かべると、カイウォルは嘲るように目を細めた。
「いくら妹が努力を重ねても、『女王』に求められることは、立派に国を治めることではありません。次代の王となる〈神の御子〉を――それも、できれば男子を産むことなのです。……たとえ、『王』であっても、『仮初めの王』でしかない女王は、道具のように扱われるだけなのですよ。――私たちの母のように、ね」
言葉の終わりを、溜め息に似た吐息に溶かし、カイウォルは、ゆっくりと視線を窓に向けた。
「母の遺言は、『アイリーをよろしく』であって、『立派な王にするように』ではありませんでした。女王となる娘に、自分のような不幸な人生を送ってほしくない。どうか守ってやってほしい――そんな思いからの言葉だったのでしょう」
「……」
「ですが、妹を守りたくても、ただの王子である私に、できることなど限られています。――そう思っていた私にとって、ライシェンの誕生は、まさに救いでした」
カイウォルの黒い瞳が天を仰ぐ。その動きと共に、黒い髪が音もなく揺れる。
「〈神の御子〉のライシェンは、赤子のときのアイリーにそっくりでした。私は柄にもなく、素直に可愛いと思いましたよ。息子を奪われると思ったのか、ヤンイェンとセレイエには激しく警戒されましたが、ライシェン本人は私によく懐いてくれて、私が会いにいくと、いつもご機嫌で笑ってくれました」
――赤子を相手に、随分と好き勝手な解釈をするものだ。
ハオリュウは内心で冷ややかに鼻を鳴らし……、その直後、はたと気づく。
ライシェンは、『来神』だったのだ。
〈神の御子〉の男子が持つ『情報を読み取る』能力と、〈天使〉のセレイエから受け継いだ『情報を書き込む』能力を併せ持つ――『神』。
ライシェンは、自分に害意を向けた人間を容赦なく殺していった。
ライシェンが王宮に迎えられた四年前、カイウォルは摂政でこそなかったが、国政に携わる王子であり、国の中枢に位置する人物だったはずだ。ならば、ライシェンとの接触の機会も多かったことだろう。
悪感情を抱いていれば、真っ先に殺されていたであろう距離。しかし、カイウォルは殺されなかった。
すなわち――。
カイウォルは敵ではないと、ライシェンが認めていたことになる。
――そんな馬鹿な……。
「随分な顔をしていますね」
「……っ!?」
カイウォルの言葉に、心臓が跳ねた。
ハオリュウは、反射的に自分の頬に手を当てる。
いったい、どんな顔をしたというのだろう。――自分では分からない。
「意外でしたか? ――ええ、そうでしょうとも。君は、私のことを誤解していましたからね」
底なしの深みへと呑まれそうな瞳から、ハオリュウは逃げるように目を逸らした。視界を床に移したまま、情報を整理しようと、早鐘を打つ胸を押さえる。
「ライシェンが私に懐くのは、当然のことなのです。少し考えれば、分かるはずです」
ソファーのわずかな軋みと、軽く腕を組むような衣擦れの音。雅やかな香が、ふわりと漂う。
カイウォルは背もたれに体を預け、ハオリュウを睥睨しているのだろう。顔を伏せたままでも、察することができた。
「ヤンイェンとセレイエは、勿論、息子を愛していたでしょう。それでも、黒髪黒目であればよかったのにと、思わずにはいられなかったはずです。――私の母が、長男が〈神の御子〉であったならと、願わずにはいられなかったように。口には出さずとも、その思いが私に伝わってしまっていたように……ね」
ハオリュウの頭上から、カイウォルが告げる。
哀愁を帯びた圧が、静かに落とされていく。
「よく似た境遇なのですよ、私とライシェンは。黒髪黒目と〈神の御子〉――正反対でありながら、そっくりな運命のもとに生まれた私たちには、互いに通じるものがあったのです」
それから、そっと。
囁くような声で、カイウォルは尋ねる。
「赤子との意思疎通など、私の思い込みに過ぎないと――あなたは笑いますか?」
「!」
思わず、びくりと動きそうになった肩を、無理やりに留めた。
――鎌を掛けられている。
ライシェンが『来神』であったことを、知っているのか否か。カイウォルは、探りを入れているのだ。
ぴんと張り詰めた絹糸の如く、ハオリュウは神経を研ぎ澄ませた。彼の背後で、見えない闇が広がる。どこからでも掛かってこいという、臨戦態勢だ。
そんなハオリュウの内心を知ってか知らでか、カイウォルは穏やかな表情で続けた。
「『ライシェンが〈神の御子〉として生まれたことで、妹を女王にせずにすむ』という思いは、邪な安堵かもしれません。ですが、それでも、私は『〈神の御子〉である彼』の誕生を純粋に心から喜びました。そこが、両親とは違ったのですよ」
懐かしむように瞳を細め、カイウォルは胸に手を当てる。
「『君が〈神の御子〉であることも含めて、生まれてきてくれて、ありがとう』――私は、たびたび、ライシェンにそう語りかけました。特に、両親が浮かない顔をしていたときにね」
「……」
「私が無意識のうちに、母に求めていた言葉なのでしょう。だから、私の自己満足かもしれません。ですが、ライシェンの心が動いた――と。私は感じましたよ」
それは、きっと真実だろう。
ライシェンは、カイウォルの言葉に救われたのだ。
想像もしていなかった話だが、カイウォルとライシェンの関係が、すとんと腑に落ちた。
カイウォルにも、ライシェンにも、ハオリュウは好意とは逆の感情を抱いている。どうでもよい、他人ごとだ。
……それでも、心が和んだ。
オリジナルのライシェンは、絶望しか知らずに死んだわけではないのだ。
ハオリュウのまとう闇が、わずかに緩む。
そのとき――。
不意に、カイウォルの香が鼻腔をくすぐった。
誘われるように顔を上げると、笑みをたたえたカイウォルが、ハオリュウの顔を覗き込んでいた。
「君は、君が思っているほど、非情な人間ではないのですよ。――本質は、哀しいくらいに情が深いのです」
「殿下? それは、どういう意味でしょうか?」
唐突すぎる発言に、ハオリュウは首を傾げる。しかし、カイウォルは、疑問には答えをくれなかった。
代わりに、「ハオリュウ君」と、呼びかける。
「君は、ライシェンの両親が誰であるか、本当は知っていたのでしょう?」
「!」
耳朶を打った衝撃に、呼吸が止まった。
だが、かろうじて無表情だけは完璧に保った……はずだ。
「それだけではありませんよね」
雅やかな笑みを浮かべ、カイウォルは蠱惑の旋律を響かせる。
「オリジナルのライシェンが、どうして殺されたのか――も。……君は、知っていますね?」
刹那、ハオリュウの背中を戦慄が駆け抜けた。
それから、カイウォルは口の端を上げ、冷ややかに付け加える。
「別に答えなくて構いませんが、鷹刀一族と懇意にしている君なら、『神殿が、王の私設研究機関である〈七つの大罪〉の、隠れ蓑になっている』ことくらい、ご存知なのでしょう?」
こともなげに極秘事項を明かすのは、互いに知らぬふりでは話を進めにくい、ということなのだろう。
対して、ハオリュウは無言で聞き流す。
義兄ではないが、情報を制する者が勝つのだ。よって無表情を決め込むとする。――が、それでは、カイウォルは面白くなかったらしい。不満げに顔をしかめた。
「そして、ライシェンの父親は、神官長の職にあったヤンイェンです。……ライシェンは、四年前、まだ先王が存命のときに、このふたりの息子として生まれました」
ハオリュウにとって、それもまた既知の事実だ。故に沈黙のまま、神妙に聞き入るふりをしようとして、はっと息を呑む。
先ほど、ハオリュウは『『ライシェン』は、カイウォル殿下の御子なのですね』などと言って意趣返しをしたばかりだ。ならば、この情報に関しては、無表情ではなく、『平静を装いつつも、動揺あるいは得心の顔を隠しきれずにいる』ほうが自然だ。
――ややこしいが、気をつけないとボロがでるな。
冷や汗に身を震わせると、カイウォルが口元をほころばせた。そういう反応が欲しかった、ということだろう。
ハオリュウの緊張の理由と、カイウォルの解釈との間にはズレがあるのだが、勝手に気をよくしてくれたなら都合がいい。ハオリュウは畏まった体で目線を下げ、続きを促した。
「〈神の御子〉の男子であるライシェンは、女子であるアイリーよりも、王位継承権が上になります。つまり、彼は生まれた瞬間に、次代の王になることを約束されました」
そこでカイウォルは、まるで耳打ちでもするかのように、「ハオリュウ君」と、すっと身を寄せた。
「私は、母に妹を託され、彼女が立派な王になるよう、手塩にかけて育ててきました。そこに突然、彼女を押しのけて王になる、〈神の御子〉の男子の誕生です。この事態に、私が何を思ったか、想像できますか?」
含みのある、刺すような視線。
声を詰まらせたハオリュウに、カイウォルは薄い嗤いを漏らす。
彼は、ただ、ハオリュウを困らせたかっただけのようで、返答など期待していなかったのだろう。演技めいた仕草で、肩をすくめた。
「『ライシェンを邪魔に思った』? ――とんでもありません。私は、この世で一番、『〈神の御子〉である彼』の誕生を祝福した人間だと思いますよ。黒髪黒目の子供が生まれてくると信じて疑わなかった、両親よりも、ずっと」
「……」
話の方向が見えてこない。
ハオリュウが困惑を浮かべると、カイウォルは嘲るように目を細めた。
「いくら妹が努力を重ねても、『女王』に求められることは、立派に国を治めることではありません。次代の王となる〈神の御子〉を――それも、できれば男子を産むことなのです。……たとえ、『王』であっても、『仮初めの王』でしかない女王は、道具のように扱われるだけなのですよ。――私たちの母のように、ね」
言葉の終わりを、溜め息に似た吐息に溶かし、カイウォルは、ゆっくりと視線を窓に向けた。
「母の遺言は、『アイリーをよろしく』であって、『立派な王にするように』ではありませんでした。女王となる娘に、自分のような不幸な人生を送ってほしくない。どうか守ってやってほしい――そんな思いからの言葉だったのでしょう」
「……」
「ですが、妹を守りたくても、ただの王子である私に、できることなど限られています。――そう思っていた私にとって、ライシェンの誕生は、まさに救いでした」
カイウォルの黒い瞳が天を仰ぐ。その動きと共に、黒い髪が音もなく揺れる。
「〈神の御子〉のライシェンは、赤子のときのアイリーにそっくりでした。私は柄にもなく、素直に可愛いと思いましたよ。息子を奪われると思ったのか、ヤンイェンとセレイエには激しく警戒されましたが、ライシェン本人は私によく懐いてくれて、私が会いにいくと、いつもご機嫌で笑ってくれました」
――赤子を相手に、随分と好き勝手な解釈をするものだ。
ハオリュウは内心で冷ややかに鼻を鳴らし……、その直後、はたと気づく。
ライシェンは、『来神』だったのだ。
〈神の御子〉の男子が持つ『情報を読み取る』能力と、〈天使〉のセレイエから受け継いだ『情報を書き込む』能力を併せ持つ――『神』。
ライシェンは、自分に害意を向けた人間を容赦なく殺していった。
ライシェンが王宮に迎えられた四年前、カイウォルは摂政でこそなかったが、国政に携わる王子であり、国の中枢に位置する人物だったはずだ。ならば、ライシェンとの接触の機会も多かったことだろう。
悪感情を抱いていれば、真っ先に殺されていたであろう距離。しかし、カイウォルは殺されなかった。
すなわち――。
カイウォルは敵ではないと、ライシェンが認めていたことになる。
――そんな馬鹿な……。
「随分な顔をしていますね」
「……っ!?」
カイウォルの言葉に、心臓が跳ねた。
ハオリュウは、反射的に自分の頬に手を当てる。
いったい、どんな顔をしたというのだろう。――自分では分からない。
「意外でしたか? ――ええ、そうでしょうとも。君は、私のことを誤解していましたからね」
底なしの深みへと呑まれそうな瞳から、ハオリュウは逃げるように目を逸らした。視界を床に移したまま、情報を整理しようと、早鐘を打つ胸を押さえる。
「ライシェンが私に懐くのは、当然のことなのです。少し考えれば、分かるはずです」
ソファーのわずかな軋みと、軽く腕を組むような衣擦れの音。雅やかな香が、ふわりと漂う。
カイウォルは背もたれに体を預け、ハオリュウを睥睨しているのだろう。顔を伏せたままでも、察することができた。
「ヤンイェンとセレイエは、勿論、息子を愛していたでしょう。それでも、黒髪黒目であればよかったのにと、思わずにはいられなかったはずです。――私の母が、長男が〈神の御子〉であったならと、願わずにはいられなかったように。口には出さずとも、その思いが私に伝わってしまっていたように……ね」
ハオリュウの頭上から、カイウォルが告げる。
哀愁を帯びた圧が、静かに落とされていく。
「よく似た境遇なのですよ、私とライシェンは。黒髪黒目と〈神の御子〉――正反対でありながら、そっくりな運命のもとに生まれた私たちには、互いに通じるものがあったのです」
それから、そっと。
囁くような声で、カイウォルは尋ねる。
「赤子との意思疎通など、私の思い込みに過ぎないと――あなたは笑いますか?」
「!」
思わず、びくりと動きそうになった肩を、無理やりに留めた。
――鎌を掛けられている。
ライシェンが『来神』であったことを、知っているのか否か。カイウォルは、探りを入れているのだ。
ぴんと張り詰めた絹糸の如く、ハオリュウは神経を研ぎ澄ませた。彼の背後で、見えない闇が広がる。どこからでも掛かってこいという、臨戦態勢だ。
そんなハオリュウの内心を知ってか知らでか、カイウォルは穏やかな表情で続けた。
「『ライシェンが〈神の御子〉として生まれたことで、妹を女王にせずにすむ』という思いは、邪な安堵かもしれません。ですが、それでも、私は『〈神の御子〉である彼』の誕生を純粋に心から喜びました。そこが、両親とは違ったのですよ」
懐かしむように瞳を細め、カイウォルは胸に手を当てる。
「『君が〈神の御子〉であることも含めて、生まれてきてくれて、ありがとう』――私は、たびたび、ライシェンにそう語りかけました。特に、両親が浮かない顔をしていたときにね」
「……」
「私が無意識のうちに、母に求めていた言葉なのでしょう。だから、私の自己満足かもしれません。ですが、ライシェンの心が動いた――と。私は感じましたよ」
それは、きっと真実だろう。
ライシェンは、カイウォルの言葉に救われたのだ。
想像もしていなかった話だが、カイウォルとライシェンの関係が、すとんと腑に落ちた。
カイウォルにも、ライシェンにも、ハオリュウは好意とは逆の感情を抱いている。どうでもよい、他人ごとだ。
……それでも、心が和んだ。
オリジナルのライシェンは、絶望しか知らずに死んだわけではないのだ。
ハオリュウのまとう闇が、わずかに緩む。
そのとき――。
不意に、カイウォルの香が鼻腔をくすぐった。
誘われるように顔を上げると、笑みをたたえたカイウォルが、ハオリュウの顔を覗き込んでいた。
「君は、君が思っているほど、非情な人間ではないのですよ。――本質は、哀しいくらいに情が深いのです」
「殿下? それは、どういう意味でしょうか?」
唐突すぎる発言に、ハオリュウは首を傾げる。しかし、カイウォルは、疑問には答えをくれなかった。
代わりに、「ハオリュウ君」と、呼びかける。
「君は、ライシェンの両親が誰であるか、本当は知っていたのでしょう?」
「!」
耳朶を打った衝撃に、呼吸が止まった。
だが、かろうじて無表情だけは完璧に保った……はずだ。
「それだけではありませんよね」
雅やかな笑みを浮かべ、カイウォルは蠱惑の旋律を響かせる。
「オリジナルのライシェンが、どうして殺されたのか――も。……君は、知っていますね?」
刹那、ハオリュウの背中を戦慄が駆け抜けた。